「格差」というと、みなさんはどのようなものを思いうかべるでしょうか。いろいろな「格差」がありそうですね。「格差社会」などの言葉のように、「格差」に着目して社会問題として捉えられることも多いようです。
ここでは、「所得格差」について考えてみたいと思います。この「所得格差」の根拠にはどのようなものがあるのでしょうか。今回は雑学のお話です。国別や時系列などで「所得格差」を比較・分析するための指標として有名な「ジニ係数」について紹介します(Wikipedia「ジニ係数」)。
下のグラフは、縦軸が累積所得(%)、横軸は累積世帯数(%)をあらわしています。右上がりの曲線は、「均等分布線」です。縦軸の累積所得は、横軸の累積世帯数の「相対的に低所得である世帯」から順番に所得を累積します。

各世帯の所得と世帯数の比率を累積していくと、縦軸と横軸の関係をあらわす曲線ができます。この曲線を「ローレンツ曲線」といいます(Wikipedia「ローレンツ曲線」)。

「所得格差」の指標である「ジニ係数」は、三角形「0AB」の面積に対する「『ローレンツ曲線』と『均等分布線』にかこまれた面積」の比率で算出されます。
ここで、各世帯の所得がまったく同じである場合を考えてみましょう。「所得格差」がなく、各世帯の所得が平等である状態です。所得が完全に平等であれば、「ローレンツ曲線」は「均等分布線」上の直線になり、「ジニ係数」は「ゼロ」となります。
所得が完全に不平等である場合は、ひとつの世帯が所得を独占して、ほかの世帯の所得が「ゼロ」である状況を想定します。この場合の「ジニ係数」は「1」となります。
みなさんの所得は、税制や社会保障制度などにより、その「格差」の是正が図られています(所得再分配)。参考までに、2011年版「厚生労働白書」によると、2008年の日本における所得再分配後の「ジニ係数」は、「0.329」という数値(「OECD. Stat」に基づいた数値)になっています(2014年政府統計では「0.376」という数値であり、調査主体によっても差がありそうです)。
日本の「ジニ係数」は、『所得再分配前においても所得再分配後においてもOECD平均とほぼ同水準』であるそうです。
さて、企業内や企業間にも「所得格差」が存在します。それぞれの業界によっても、「格差」がありそうですよね。また、所得にかぎらず、さまざまな「格差」がありそうです。みなさんの会社(事務所、お店など)のマネジメントを考えるうえで、このような視点における分析も参考になることがあるのではないでしょうか。
提携中小企業診断士 岩田 岳
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