ゲームというと、なんだかおもしろそうですね。最近は、スマートフォンなどで気軽にゲームを楽しんでいる人も多いようです。今回は、「ゲーム理論」のお話です(Wikipedia「ゲーム理論」)。「ゲーム理論」という言葉を聞いたことがあるかたも多いのではないでしょうか。
「ゲーム理論」には、いろいろなパターンがあります。そして、「ゲーム理論」はその条件によってはとても複雑で難しいものになってしまいます。
しかし、経済学や経営学をはじめ、さまざまな分野で応用されている理論です。今回は、経営における意思決定などで、この「ゲーム理論」がどのように応用できるのか、どのようなヒントを与えてくれるのかについて、かんたんに考えてみたいと思います。
「ゲーム理論」では、主に寡占市場などがその分析の対象となります。つまり、自分や相手の行動が、おたがいの行動に大きな影響を与える状況において、とくに有効な理論であると考えられます。ここで考えるのは、戦略型(ゲームに参加するプレーヤーの行動の順番など、時間的概念を考慮しません)非協力(プレーヤーがおたがいに協力することはありません)ゲームです。
今回のゲームでは、相手の行動に対して各プレーヤーが選択するもっとも合理的な行動の組み合わせを求めます。この組み合わせを「ナッシュ均衡」といいます(Wikipedia「ナッシュ均衡」)。
「ナッシュ均衡」の「ナッシュ」は、数学者のナッシュ(John F. Nash)さんから名づけられました。ノーベル経済学賞の受賞者でもあるナッシュさんのお話は、アメリカの「ビューティフル・マインド」という映画にもなりました。
では、有名でかんたんなゲームを例に考えてみましょう。
いま、2人組の犯人が逮捕されました。犯人のAさんとBさんは、それぞれが取り調べを受けています。
じつはこのAさんとBさん、逮捕された容疑のほかに、もっとわるい罪の容疑者でもあったのです。このもっとわるい罪の容疑について、AさんとBさんには「黙秘」をするか「自白」をするかの選択肢があります。
ここで、AさんとBさんの戦略を表にしてみましょう。この表では、左側の数値がAさんの利益、右側の数値がBさんの利益を表しています(この利益を利得といいます)。このように、各プレーヤーが選択した行動の結果として得られるそれぞれの利益を表にしたものを利得表といいます。この利得表の数値は、左側がAさんの懲役年数、右側がBさんの懲役年数です。

2人がそろって「黙秘」を選択した場合、AさんとBさんが犯したもっとわるい罪は証拠不十分となります。この場合のAさんとBさんの懲役年数はそれぞれ1年(-1、-1)です。
Aさんが「黙秘」を選択して、Bさんが「自白」を選択した場合、Aさんには懲役7年のきびしい刑がまっています。そして、なんとBさんは捜査に協力をしたということで釈放されます(-7、0)。Aさんが「自白」を選択して、Bさんが「黙秘」を選択した場合、Aさんは釈放され、Bさんは懲役7年の刑となります(0、-7)。
2人とも「自白」を選択した場合は、AさんとBさんの懲役年数はそれぞれ4年(-4、-4)になってしまいます。さて、相手の行動に対して各プレーヤーが選択するもっとも合理的な行動の組み合わせ(「ナッシュ均衡」)は、どれでしょうか。
提携中小企業診断士 岩田 岳
|