「顧客(標的顧客)」customer:who⇒「だれに」
「機能(顧客機能)」function:what⇒「なにを」
★「技術(独自技術)」technology(「資源(経営資源)」resource):how⇒「どのように」
最後に、「どのように」について検討してみましょう。

「どのように」は、「技術」や「資源」のことでした。パンをつくってお店で売るのであれば、パンをつくる「技術」が必要です。また、パンをつくるための道具やパンを売るためのお店も必要ですよね。
経営資源は、よく「ヒト、モノ、カネ、情報、ノウハウ」などと表現されます。「おカネ」がたくさんあれば、有名なパン職人さんを雇ったり、立地条件のよいお店を借りたりすることができます。ほかのパン屋さんにマネができないような「技術」や「ノウハウ」があれば、ほかのパン屋さんにはマネができないような「機能」をうみだせるかもしれません。
「どのように」では、「顧客」に対する「機能」を実現するためのアイデアだけではなく、そのアイデアを実行するために必要な「技術」や「資源」についても検討したいところです。また、いまある「技術」や「資源」からアイデアがうまれることもありそうですね。
その「技術」や「資源」が「独自」のものであって、他社が保有することが難しいものであれば、それは持続的な競争優位の源泉になるかもしれません(Wikipedia「コア・コンピタンス」)。
みなさんが得意なことで、「どうしてそれが上手になったのかよくわからない」ということはありませんでしょうか。
勉強やスポーツ、音楽などの分野でたくさん練習をしたり、やりかたをかえてみたり、ほかの人から習ったり、練習をやすんでみたりといろいろな方法をためしたとします。たくさん失敗もしましたが、いつのまにやらなにかのコツをつかんだようで、とても上手にできるようになりました。しかし、どうして上手になったのかは自分でもよくわかりません。
会社のような組織の「技術」や能力は、さまざまな要因が複雑に関係しあってつくられることが多いようです。いろいろな方法をためしながら、たくさん失敗をしながら、わるそうなところを修正しながら、ながい時間をかけていまのレベルまでひきあげられた「技術」・能力です。このような「技術」や能力は、「『経路依存性』が高い」ということができます(Wikipedia「複雑系経済学」)。
その会社にお勤めのみなさんでさえも、「その『技術』や能力が高くなった理由」がよくわからないような状況であれば、それを他社が保有するのはとても難しいことです。このような「独自」の「技術」や能力は有効に活用できそうですよね。
「どのように」、「顧客」に対する「機能」をつくりだせるでしょうか。また、みなさんの会社の「技術」や「資源」を活用して、「だれに」「なにを」提供することができそうでしょうか。
提携中小企業診断士 岩田 岳
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