わかりやすい経営コラム ~経営者の皆さまへ~
 

 part39「経営戦略ってなんだろう?⑥」

 大手パン屋さんチェーンは、日本全国にお店を展開しています。大手パン屋さんチェーンでは、競合店や人口、交通量など、商圏や市場の分析に基づいて、お店をだす地域が決定されるようです。お店で販売する商品は、大手パン屋さんチェーンの本部にある商品企画部のみなさんが、たくさん売れそうなものを考えています。

 パンをつくるための小麦粉やバター、たまごなどの原材料は、大手パン屋さんチェーンの本部でまとめて調達します。購買量が多いので、とても安い価格で買うことができるようです。そして、原材料はそれぞれのお店に必要なぶんだけ、毎日配送することができます。もちろん、パンをつくるための機械や道具、パン職人さん、お店でレジを担当するパートさんなどの経営資源も豊富です。

 日本全国の大手パン屋さんチェーンのお店で売れた商品は、その日のうちに集計されてデータを確認することができます。このように蓄積された情報は、売上予測や市場分析、商品企画などに活用されています。最近は、広告などのプロモーションにも積極的なようです。

 さて、経営学者のバーニー(Jay B. Barney)さんは、経営資源をつぎのように分類しました(part14「経営資源(VRIO)」)。

 ★「財務資源」

 ★「物的資源」


 ★
「人的資源」


 ★
「組織資源」


 あらためて、田中パン店は、この町に進出してきた大手パン屋さんチェーンとくらべて「ヒト、モノ、カネ、情報、ノウハウ」などの経営資源が不足しています。大手パン屋さんチェーンがとても安い価格で販売しているからといって、田中パン店でそれに対抗しようとしてもかないません。「大手パン屋さんチェーンと異なる方法」で「大手パン屋さんチェーンと異なる価値」を提供する必要がありそうです。

 大手パン屋さんチェーンにとっては、「主婦やサラリーマンをはじめ、住居や職場がお店の近くにある日本全国の人」が「顧客(だれに)」です。もちろん、田中パン店の「顧客(だれに)」である「田中パン店がある町に住むお年寄り」も含まれます。そして、この大手パン屋さんチェーンでは、主に「安い価格のおいしいパンで食生活を豊かにする」という「機能(なにを)」を提供しているようです。

 経営学者のポーター(Michel E. Porter)さんは、つぎの5つを競争要因として考えました(part13「業界の競争構造」)。

 「業界内の競争(industrial competitors)」

 「供給業者の交渉力(suppliers)」

 「買い手の交渉力(buyers)」

 「新規参入業者(potential entrants)」

 「代替品(substitutes)」

 ここで、もういちど外部環境と内部環境に着目してみましょう。

 「ポジショニングアプローチ(positioning approach)」

 「資源アプローチ(resource based view)」

 田中パン店に必要な「作戦」は、がんばって大手パン屋さんチェーンと同じ価格で販売することではありません。利益をうみだすために、田中パン店では「大手パン屋さんチェーンと異なる方法」で「大手パン屋さんチェーンと異なる価値」を提供したいところです。

提携中小企業診断士 岩田 岳 





連載中(月2回更新)





  お問い合わせ・ご相談はご気軽に
TEL 03‐4405‐4850
   (受付時間) 平日9:00~17:00
東京、千葉、埼玉、神奈川 その他、全国どこでも対応します。

Copyright(C) 2014 高橋会計事務所.All Rights Reserved.