わかりやすい経営コラム ~経営者の皆さまへ~
 

 part30「為替レート」

 みなさんの会社(事務所、お店など)で取り扱う商品が、海外に輸出するものや海外から輸入するものである場合などは、為替レートの変動が売上や利益などに影響を及ぼしそうです。

 商品を直接輸出入していなくても、最終製品が輸出品であったり、原材料が輸入品であったりすれば、為替レートの変動は、経営にもなにか影響があるかもしれません。日本では、国内で使用する原油の99%以上が輸入されたものです。取り扱う商品が原油からつくられる場合、たとえば円安は原材料費高騰の要因にもなります。

 為替レートが決定する要因には、さまざまなものがあります。為替レートの変動を予測するのは、とても難しいことですよね。為替レートが決定する要因のひとつに、「購買力平価」という概念があります(Wikipedia「購買力平価説」)。まずは、この「購買力平価」の説明として、有名な「ビッグマック指数」について考えてみたいと思います(Wikipedia「ビッグマック指数」)。雑学としてご覧ください。

 「ビッグマック」とは、あのハンバーガーの「ビッグマック」です。かんたんに説明します。いま、アメリカでは「ビッグマック」1コが3ドルで販売されているとしましょう。そして、日本では「ビッグマック」1コの価格が300円だとします。

 「アメリカでは3ドル=『ビッグマック』1コの価格=日本では300円」!

 「アメリカの3ドル=日本の300円」!!

 「1ドル=100円」!!!、ということです。

 「ビッグマック」を例にしていますが、つまり「物価水準を基準に為替レートが決定する」という考えかたですね。為替レートが「1ドル=100円」であるこの場合に、アメリカで「ビッグマック」1コ(日本では300円)が2ドルに値下げして販売されていれば、これからだんだん円安(「1ドル=150円」)になっていくかもしれないな、ということです。

 もちろん、為替レートを決定する要因は物価水準だけではありません。

 取り扱う商品が、海外に輸出するものであれば、円安は有利です。この場合は、輸出量が増えそうです。しかし、日本の輸出量が増えると、円の需要は増加します。すると、こんどは円高になっていくかもしれませんよね。

 このように、為替レートはさまざまな複雑な要因から決定されます。為替レートがこれからどのように変動していくのか、ある程度の分析はできても、実際にどうなるのかはかんたんにはわかりません。

 為替レートの変動は、みなさんの会社(事務所、お店など)でコントロールできることではありません。もちろん、会社の経営に大きな影響がある場合でも、為替レートは都合よく変動してくれるわけではありません。part15でお話した「SWOT」を考えると、一般的に為替レートは、外部環境である「機会(Opportunities)」または「脅威(Threats)」として捉えられるのではないでしょうか。

 為替レートの変動リスクを最小限にするために、なにかの対策が必要な場面があるかもしれませんね。

 しかし、海外に進出しようとしても、そのために配分できる経営資源が不足していれば困難でしょう。どのような企業でも、経営資源はかぎられています。とくに中小企業では、相対的に経営資源が不足している場合が多いようです。

 通貨オプションや為替予約などのデリバティブ(金融派生商品)を活用している企業も多いのではないでしょうか。原材料を、国内のものと海外のものに分散して調達している企業もあるかもしれません。このように、為替レートの変動リスクを回避するための対策は、企業によってさまざまであると思います。

 外部環境の変化には、為替レートのように予測が困難でコントロールすることができないものが多くあります。しかし、企業はこれらの環境変化に対応していかなければなりません。さまざまな状況を想定して、適切な意思決定ができるように準備しておくことが有効である場面もありそうですね。

提携中小企業診断士 岩田 岳





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