みなさんは、会社(事務所、お店など)で役職や肩書きをおもちでしょうか。社長や部長、課長など、その会社におけるさまざまな役割に応じた職位はたくさんありそうですね。
今回は、「みなさんの会社の役職で、えらい人の序列を考えましょう!」というお話ではありません。
さて、みなさんが株式会社の役員または従業員である場合、みなさんの会社に役員は何名いらっしゃるでしょうか。ここで、役員とはどのような人のことをいうのでしょうか(Wikipedia「役員(会社)」)。役職がある人は、みんなその会社の役員なのでしょうか。
会社を設立すれば、自動的にその会社がいろいろと必要なことを決めてくれるわけではありません。会社の機関(株主総会や取締役、取締役会などのことをいいます)が、会社のかわりに、会社のための意思決定や行動など(業務の執行や業務執行の決定、監督)をすることになります。
すべての株式会社には、株主総会と取締役の設置義務があります。これは、会社法という法律で定められています。
一般的に役員という場合、会社法上の役員のことをいいます。会社法は、会社の機関としてこのような特定の役割を担っている人を役員としています。株式会社では、「取締役」や「監査役」、「会計参与」が会社の機関であり、役員です(また、「会計監査人」や委員会設置会社という株式会社の形態における「執行役」は会社の機関であり、役員等として位置づけられています)。
社長や部長などの肩書きをもっているだけでは、役員であるかどうかの判断ができないのでしょうか。
株式会社は、その会社が設計可能な範囲において必要な機関を設置します。役員である「取締役」や「監査役」、「会計参与」というのは、会社法で定められた会社の機関です。社長や部長、課長などは、会社法で定められたものではない、その会社における役職です。
たとえば、「代表取締役社長」は役員です。「代表取締役」であれば会社の機関であり、役員なのですが、「社長」というのは役職です。つまり、「社長」であっても「取締役」などの機関ではない場合であれば、会社法上の役員には該当しません。
最近は、とくに大きな会社で「執行役員」という言葉をよく耳にします。この「執行役員」は、役員という言葉のとおり会社の機関であり、役員であるような気がしますが…。
執行役員制を導入している会社では、「執行役員」について、業務執行などを担当する会社の役員として位置づけている場合も多いようです。しかし、「執行役員」は、会社法上の機関や役員ではありません。
以前、日本の会社は海外の投資家から、「取締役の人数が多いから、お金がかかるし効率もわるいのだ!」などとマイナス面を指摘されるようになりました。これを解消するために、日本の会社は取締役の人数を見直したという経緯があります。
ただ、いままで会社の役員だった人を従業員にしなければなりません。その対象になった人は、とてもガッカリしてしまうかもしれません。そこで、「執行役員」という役職が登場しました。会社法上の役員ではありませんが、「役員」という言葉がついた役職です。
「執行役員」について、業務執行などを担当する会社の役員として位置づけている場合も多いというお話のように、その役割は会社によってさまざまであると考えられます。
また、法人税法では、会社法上の役員ではなくても経営者の家族などが役員だとみなされることがあります。このように、いろいろな法律などで、その目的により役員の定義が会社法とは異なる場合があるようです。
提携中小企業診断士 岩田 岳
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