わかりやすい経営コラム ~経営者の皆さまへ~
 

 part6「価格競争の要因②」

 一般的に、ぜいたく品の「需要の価格弾力性」は高く、必需品の「需要の価格弾力性」は低いと考えられています。

 たとえば、宝石や高級腕時計、海外旅行などのぜいたく品は価格が安くなると消費意欲が高まり、需要が増加しやすいということですね。反対に、価格が高くなると需要が減少しやすくなります。ぜいたく品であれば、必ずしもないと困るものではない場合が多いのかもしれませんね。

 一方で、必需品は生活に必要なものです。価格が高くても、ないと困ってしまうので需要が減少しにくくなります。たとえば、電気代が高くなっても電気を使用しないわけにはいきません。また、電気代が安くなったからといって、そのぶんたくさん消費しようとは思いませんよね。通勤などで、日常的に車に乗っている人はガソリンが高くても買う必要がありますし、安くなったからといってたくさん消費するためには、また時間やお金がかかってしまいます。

 また、その財のかわりになる財(代替財)がたくさんあると「需要の価格弾力性」は高く、その財のかわりになる財(代替財)が少ないと「需要の価格弾力性」は低くなると考えられています。

 「お客さんにとっての価値が同じ」である代替財がたくさんあれば、それらの財よりも安い価格にしないと需要を獲得できそうもありません。その財の「需要の価格弾力性」が高いほど、価格競争に陥りやすいといわれています。

 では、「需要の価格弾力性」が低ければ、価格競争にはならないのでしょうか。

 「需要の価格弾力性」が低い財には、商品の差別化が困難である財が多いともいわれています。さきほどの例で考えてみると、たしかに差別化された「電気」や「ガソリン」はちょっと想像しにくいですよね。

 その市場にたくさんの競合がいて、さらに商品の差別化が困難であれば、やはり価格競争になってしまいそうです。

 日本では電力の自由化があまりすすんでいませんので、大手電力会社が市場をほぼ独占(地域独占)しています。関東の電力会社の電気代が高いからといって、九州の電力会社から電気を買おうと思っても難しいですよね。今後は自由化による競争が期待されていますが、いまのところ、この市場にたくさんの競合は存在していません。価格競争にはなりにくい状況であると考えられます。

 電気と同様に「需要の価格弾力性」が低いガソリンはどうでしょうか。商品の差別化は困難です。そして、この市場にはたくさんの競合がいそうです。みなさんは、たくさんあるガソリンスタンドのうち、「どこでガソリンを買うのか」を選ぶことができます。価格競争になりやすい状況であると考えられますね。しかも、「需要の価格弾力性」が高い財とくらべると、価格が安くなっても需要は大きく増加しませんので、価格競争になった場合はちょっとたちがわるそうです。

 その国の経済の状況や為替相場など、ほかにもいろいろなものがありそうですが、このように「市場に存在する競合の数が多い」ことや「代替財がたくさんある(『需要の価格弾力性』が高い)」こと、「商品の差別化が困難」なことなどは、価格競争になる要因であるのかもしれません。

提携中小企業診断士 岩田 岳 





連載中(月2回更新)



  お問い合わせ・ご相談はご気軽に
TEL 03‐4405‐4850
   (受付時間) 平日9:00~17:00
東京、千葉、埼玉、神奈川 その他、全国どこでも対応します。

Copyright(C) 2014 高橋会計事務所.All Rights Reserved.