みなさんは、「経営戦略」という言葉を聞いたことがあるのではないかと思います。
では、質問です。「あなたの会社(事務所、お店など)の経営戦略は、なんですか?」さて、どのようにお答えになるでしょうか。
「そのまえに、経営戦略っていったいなんだろう?」という疑問を抱く人も多いのではないでしょうか。
「経営戦略」について、有名な研究者のかたがたが定義づけされています。それぞれが的確で、どれもすばらしい表現です。しかし、わたしたちには聞きなれない言葉やイメージしにくい表現もあって、ちょっとすっきりしないような気がします(Wikipedia「経営戦略」)。
会議などで「経営戦略」という言葉がでてきたときに、「それが具体的になにを指しているのか」わからないことが多いというお話をよく聞きます。そもそも、「経営戦略」という言葉は定義が不明確であるために、いろいろな意味でつかわれているようです。
ここで、思い切って「経営戦略」をほかの言葉におきかえてみたいと思います。利益がうみだせるようにする「作戦」です。ここでは、売上目標を達成したり、市場でのシェアを拡大したりするための「作戦」ではありません。よりたくさんの利益がうみだせるようにする「作戦」です。
また、この「作戦」は、ステークホルダー(従業員やお客さん、株主などの利害関係者)にとっての意思決定や行動の指針にもなるものです。
いま、みなさんはお友達からおつかいを頼まれたとします。1,000円をあずかりました。
A「これでなにか買ってきて!」
B「パン屋さんでクリームパンを5コ買ってきて!」
さて、どちらが行動しやすいでしょうか。あきらかにBですよね。人には、ある程度の制約がないと行動しにくくなってしまう場面がよくあります。
A「あの先輩をみならいましょう!」
B「あの先輩のように、お客さんに目的をつたえてから訪問しましょう!」
どのように行動するべきなのかがわかりやすいのはどちらでしょうか。
営業の成績がとてもよい先輩といっしょに行動していたら、みなさんも営業でよい成績があげられるようになりました。しかし、なにがよかったのか言葉では説明ができません。このような感覚的な知識は「暗黙知」といわれています(Wikipedia「暗黙知」)。
「暗黙知」は言葉で説明をするのが難しいのです。「形式知」に変換しないかぎり、先輩といっしょに行動して感覚的に学ぶしかなさそうですね(Wikipedia「形式知」)。
「経営戦略」は定義が不明確な言葉です。経営者が、なんとなく感覚的に「経営戦略」を示していても、まわりの人が理解できていない場合は、実行することが困難です。どのように行動すればよいのかがよくわからないからです。「経営戦略」を策定するということには、従業員やお客さん、株主などのその企業にかかわる人々が、どのように意思決定をしてどのように行動するのかということを示すという目的もありそうですね。
では、どのようにして利益がうみだせるようにする「作戦」なのか、「経営戦略」についてもうすこし考えてみたいと思います。
提携中小企業診断士 岩田 岳
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